思い入れが強すぎる(MAD)なプレイリスト #6
「貸レコードと腕利きドラマー。」
僕が大学生だった1970年後半はSpotifyもApple Musicはもちろん、CDも無く、とにかくアナログレコードをお小遣いを貯めて買うか、趣味の合う(小金持ちの)音楽好きの友達から借りるかしかなかった。そんな時に大学キャンパスのすぐそばに1軒の貸レコード屋店が出来るという噂を聞きつけて、大学の講義(当時3年生)の時間割などまったく気にせずアルバイトを申し出て幸運にも無事採用された。その日からほぼ毎日出勤し、お店にある貸レコード(&販売用の中古レコード)を聴き漁った。2年目(大学4年生)には日々の働きっぷりと無類の音楽好き(&店主の趣味とも合致)が認められ、貸し出し用輸入レコードの買い付けも任されるようになった。そんな時に覚えた聴き方のひとつが「ドラマーしばり」。同じ時期並行してのめり込んでいたバンド活動ではギター&ボーカル担当だったけど、店内で大音量でレコードを聴いていると、特にドラマーの存在(音色やリズムの切れ味)が気になるようになり、主役よりも「誰がドラムを叩いているか」に注目して、レコードジャケットのクレジットに目を凝らしながら音楽を聴くようになった。
そこで今回紹介するのは、当時耳を奪われた5人のドラマーの代表(セッション)曲。
#1 リック・マロッタ/「PEG」Steely Dan
ロック史上燦然と輝く不滅の名盤「Aja」の中でも、最もポップでファンキーな名曲。跳ねるスネアに絡みつくようなベースラインを披露するのは名手チャック・レイニー。さらにドナルド・フェイゲン曰く「シンセのような驚異的なコーラス」を披露するのはマイケル・マクドナルド。
#2 ジェリー・マロッタ/「SHOCK THE MONKEY」Peter Gabriel
お気づきの通り、R・マロッタの弟ですが、ブリッティシュ・ロックの重鎮ピーター・ガブリエルの音楽(ライヴでも)に欠かせないト二―・レヴィン(Bass/Stick) との最強リズムセクションを長年担ってきたスーパードラマーのひとり。
#3 ラッセル・カンケル/「RUNNING ON EMPTY」Jackson Browne
ジェイムス・テイラー、ニール・ヤング、CSN&Y他数々のスーパーミュージシャンのバックを支えてきた西海岸屈指のドラマーですが、このジャクソン・ブラウンのライヴは全曲歴史的名演!
#4 マヌ・カチェ/「RED RAIN」Peter Gabriel
スティング、ジョニ・ミッチェル、坂本龍一等ROCK/POPのフィールドから自身のジャズユニットまで幅広く活躍するフランス人ドラマーが一躍脚光を浴びたのが、ジェリー・マロッタの後釜としてピーター・ガブリエルの代表作「SO」に参加した時。これまでのセッションドラマーには無い表現力豊かでダイナミックなパフォーマンスで一気にスーパードラマーの地位を確立。
*(写真のCD)現在入手困難な1stアルバム。坂本龍一の日本国内ツアーに参加するために初来日、そのリハーサル中にもらった貴重なサイン。
#5 ジェフ・ポーカロ/「I KEEP FOGETTIN‘」Michael McDonad
1992年に不慮の死を遂げた、スーパーテクニカル集団「TOTO」のドラマー。19歳でSteely Danのツアーに参加し、すでに天才ドラマーとしてその後の音楽シーンを支えてきた彼の何気ない(素人でも分かる)凄さが、Steely Danの同僚でもあったマイケル・マクドナルドの1stソロアルバムからの大ヒット曲。フェイドアウト寸前のバスドラにぶっ飛んだリスナー(プロのミュージシャン含む)数多しの名演です。ちなみにベースは70年代に大人気だったR&B/FUNKの兄弟ユニット(THE BROTHERS JOHNSON)の故ルイス・ジョンソン。